株を長く持っていると、ある日ふと気づく瞬間があります。
『増配』って、ただの数字じゃないな…と。
それは、企業から投資家への“信頼のメッセージ”のようなものです。
ヒューリックという企業を見ていると、そのことを強く感じます。
ヒューリックという企業について
ヒューリックは、東京を中心に不動産事業を展開する企業です。
1957年に「日本橋興業株式会社」として設立され、
当時の旧富士銀行(現みずほフィナンシャルグループ)の不動産関連業務を担っていたことが始まりとされています。
いまでは、オフィスビルやホテル、商業施設、住宅など幅広い資産を保有・開発する総合不動産会社へと成長しました。
同社の特徴は、何よりも経営の“スピード感”と“慎重さ”のバランスにあります。
スローガンとして掲げるのは「変革とスピード」。
少数精鋭の組織体制で、投資判断から実行までを素早く進めながらも、
闇雲にリスクを取ることはしません。
「勝てると確信した領域だけに集中する」――そんなヒューリックらしい姿勢が、長期的な安定成長を支えています。
たとえば、都心部の築古ビルを購入し、耐震補強や省エネ改修を施してから
再賃貸・再販売する。
こうした“資産入れ替え型”のビジネスモデルを活かしながら、時代に合った価値を再生していくのが同社の得意分野です。
景気の波を受けやすい不動産業界においても、安定した収益を維持できているのは、この堅実な戦略によるものだと思います。
ヒューリックの強みは、数字の上だけでは測れません。
どんな時も焦らず、チャンスを見極め、確実に積み上げていく。
“攻め”よりも“守り”を意識した経営でありながら、
その一歩一歩が結果として成長を呼び込んでいる。
そんな印象を受けます。
「17年連続増配」という歴史
ヒューリックは、東京を拠点にオフィスビルや商業施設を開発する不動産会社です。
一見、景気の波をもろに受けそうな業界ですが、
この会社は17年連続で増配を続けています。

2025年12月期の年間配当予想は60円(前年比+6円)。
上場以来ずっと右肩上がりのグラフが続き、
利益も配当も右肩上がりに成長していて美しいと言えるほどの安定感です。
業績も順調で、2025年は17期連続の最高益更新を見込んでいます。
営業利益・経常利益ともに上方修正され、経常利益は1,800億円へ。
中期経営計画で掲げていた「2027年度1,800億円目標」を
前倒しで達成してしまいそうな勢いです。
この17年連続増配・最高益更新というセットは、
日本企業の中でも珍しいことだと思います。
堅実な立地戦略に加え、時代に合わせて物件を入れ替える“機動力”も光ります。
築古ビルを再生して売却益を得ながら、より収益性の高い資産に投資していく。
こうしたサイクルが、毎年の利益と増配を裏づけています。
「増配」という約束の重さ
配当を「増やし続ける」というのは、簡単なことではありません。
一度上げた配当を下げることは、企業の信頼を失う行為にもなりかねないからです。
それでもヒューリックは、
リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍、金利上昇局面など、
幾度もの荒波を越えて17年連続増配を実現しています。
この実績は、単なる数字の積み上げではなく、経営陣の「覚悟」の表れだと思います。
代表取締役社長の西浦三郎氏は、
「安定した利益を確保し、株主に還元することが企業の責任だ」
といった趣旨の発言をしています。
その言葉には、企業としての“誇り”と“責任感”がにじんでいます。
ヒューリックの増配には、そうした経営哲学が確かに息づいているように感じます。
株主を大切にする姿勢
ヒューリックは、株主還元にとても積極的な企業です。
配当性向はおおむね40%前後を維持しています。
また、株主優待制度も人気があります。
3年以上の継続保有でカタログギフトの内容が倍になる「長期優遇制度」を設けており、
“長く持つほど報われる”仕組みを作っています。
株価が上がらなくても、配当と優待がしっかり届く。
そんな安心感が、投資家にとっての「信頼」や「誇り」につながっているのだと思います。
ヒューリックから学ぶ、資産形成の本質
私は思うのです。
投資の目的は、ただお金を増やすことではないと。
ヒューリックのような企業を見ていると、
「堅実さ」「誠実さ」「継続」が、結局は最も強いのだと気づかされます。
リスクを恐れず、しかし焦らず、
一歩ずつ積み重ねていくこと。
それは、私たちの人生にも似ています。
すぐに結果は出なくても、信じて続ける人にしか見えない景色がある。
増配株を持つということは、そんな“誇り”を持つことでもあるのかもしれません。
まとめ
ヒューリックの17年連続増配は、偶然ではなく必然です。
徹底したリスク管理と、誠実な経営方針の積み重ねが生んだ結果だと思います。
もしあなたが「安心して長く持てる株」を探しているなら、
ヒューリックはその候補に入れてみる価値があると思います。
配当が増えるたびに、
「今日もこの企業を応援してよかった」
そう感じられる銘柄に出会えること。
それこそが、投資の喜びなのかもしれません。
私は2年前にヒューリック株の購入を始め、現在は340株を保有しています。
当時の配当は1株あたり50円でしたが、いまでは60円にまで引き上げられました。
わずか2年で20%の増配です。
10円の増配は、340株で換算すれば年間3400円の配当増。
もちろん金額としては小さいかもしれません。
しかし、その背後には企業の確かな利益成長と、株主への誠実な還元姿勢があります。
「1株の重み」を感じる瞬間です。
ヒューリックが積み重ねてきた17年連続の増配は、数字の羅列ではなく信頼の歴史なのだと、実際に保有してみて改めて実感します。
最後までお読みいただきありがとうございます。










