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日本株に「本質的な変化」が起きている
数年前まで、投資といえば「アメリカ株が最強」と言われていました。
実際、GAFAを中心とする米国企業の成長スピードはすさまじく、
日本株は長い間「置いてけぼり」でした。
でも、最近はその流れが少しずつ変わり始めています。
インフレによる価格転嫁、企業の意識改革、そして社会インフラの再構築等。
こうした「構造の変化」が、日本株を押し上げる力になりつつあるんです。
この記事では、私が日本株を信じる理由を3つの視点でやさしく整理します。
インフレが変えた“日本の経済構造”
インフレとは何か?
インフレとは、物やサービスの値段が全体的に上がることです。
たとえば、これまで100円だったパンが120円になる。
給料が上がらなければ生活は苦しくなりますが、
実は“適度なインフレ”は経済にとって良い面もあります。
長くデフレ(値段が下がり続ける状態)だった日本では、企業が価格を上げられず、
利益を出すことが難しくなっていました。
でも最近は、材料費や人件費の上昇をきっかけに、
ようやく「価格を上げても売れる」状況が出てきています。
インフレが企業を強くする理由
企業が値上げをしてもお客さんが離れないということは、
「それだけの価値を感じてもらえている」という証拠です。
つまり、値上げできる力=ブランド力や価格決定力が高い企業が生き残る時代になりました。
値上げができると、売上が伸び、利益も出やすくなります。
利益が増えると、社員の給料を上げたり、新しい設備に投資したりできる。
結果として、経済全体が少しずつ動き出す——。
これが、いま日本で起きている“好循環”の始まりです。
企業が“稼ぐ力”を取り戻した
「稼ぐ力」って何?
企業の“稼ぐ力”を数字で見るときによく使われるのがROE(自己資本利益率)という指標です。
これは、会社に出資されたお金(自己資本)をどれだけ効率よく利益に変えたか、
を示すもの。
ROEが高い会社ほど「お金の使い方が上手い」と言えます。
たとえば、100万円を預けて10万円の利益を出す企業より、
20万円を生み出す企業のほうが優秀ですよね。
それがROEの考え方です。
経営の意識が変わった
昔の日本企業は「株主」よりも「社員」や「取引先」を優先する文化が強く、
利益が出ても内部にためこむ(内部留保)ことが多い傾向にありました。
でも今は、東証の要請や海外投資家の目線もあり、
「利益をどう使うか」「資本をいかに効率的に回すか」という意識が強くなっています。
ROEやPBR(株価純資産倍率)を意識した経営が増え、
自社株買い・増配・事業再編を積極的に進める企業が増加。
この変化こそ、今の日本市場の根本的な強さだと感じます。
自社株買いって何?
自社株買いとは、会社が自分の株を市場から買い戻すこと。
市場に出回る株の数が減るので、一株あたりの利益が増えるという効果があります。
イメージとしては、4人で分けていたピザを2人で食べるようなもの。
同じ大きさのピザでも、1人あたりの取り分(利益)が増えるわけです。
株価が上がりやすくなるため、投資家にも人気の施策です。
さらに、今後の日本では自社株買いを積極的に行う企業が増えています。
出回る株式が減っていくことで、株価が上昇しやすくなることが予想されます。
つまり、企業が自分の株を買う行為自体が、投資家にとってプラスの材料になるんです。
インフラ再構築という“次の成長テーマ”
日本の「再整備」が始まっている
いま、日本では「国のインフラをもう一度作り直す」動きが本格化しています。
老朽化した橋や道路、電力・通信設備、公共施設などを、
最新技術を使って安全で持続可能な形に変えていく流れです。
たとえば、送電線の入れ替えや、再生可能エネルギーへの転換、
防災対策の強化などが進められています。
これらは一度きりの工事ではなく、10年〜20年単位で続く大型投資です。
投資家目線で見た“チャンス”
インフラ再構築は、特定の企業にとって長期的なビジネスチャンスです。
建設会社、電力会社、通信機器メーカー、エネルギー関連企業など、
“国の土台を支える”業界は、今後安定した需要が見込まれます。
さらに、政府の政策(GX=グリーントランスフォーメーション、DX=デジタル化推進)も
後押ししており、これが株式市場全体にプラスの影響を与えています。
配当と自社株買いは“一過性”ではない
「株主還元」は文化になりつつある
日本企業の多くはこれまで配当を控えめにしてきましたが、
近年は「還元を続ける」姿勢を打ち出す企業が急増しています。
たとえば、配当性向(利益のうち、どのくらいを株主に配るかの割合)を
30〜40%に引き上げる企業が目立ちます。
これは一時的な流行ではなく、経営文化の変化です。
企業が「株主の信頼」を得るために、配当や自社株買いを
長期的に続ける体制を整え始めているのです。
なぜ還元が大事なのか?
配当は、株を持っているだけで受け取れる“企業からのありがとう”。
株価が上がらなくても、配当が入ることで精神的な安心感があります。
長期投資を考える上では、非常に大きな支えになります。
株価が暴落した際にも、配当利回りが防衛ラインとなり、
株価の下落がある程度支持されることが多いです。
ただし注意も必要です。
「配当が高すぎる会社」は無理をしているケースもあるので、
配当性向が安定しているかどうかを見るのがポイントです。
僕が“日本株を信じる”理由
ここまで3つの流れを見てきました。
●適度なインフレで企業の利益体質が改善した
●経営が「稼ぐ力」を意識し始めた
●インフラ再構築で長期需要が生まれた
この3つが合わさることで、日本株市場には“持続的な成長”の土台ができつつあります。
私自身、以前は「日本株は停滞している」と思っていました。
でも今は、企業の姿勢や社会の変化を見るたびに、
「もう一度、日本が動き出すかもしれない」と感じます。
投資はお金を増やす手段でもありますが、
同時に『どんな未来を応援したいか』を選ぶ行為でもあると思っています。
だから僕は、これからも日本株を信じて、
応援できる企業に投資していきたいと考えています。
まとめ:日本株は「再成長」の入り口に立っている
●インフレが企業の利益体質を改善
●経営意識が変わり、還元姿勢が定着
●社会インフラの再構築が長期の追い風になる
これらがそろっている今、
日本株は「成熟から再成長へ」と向かうチャンスの時期にあると思います。
焦らず、コツコツと、応援したい企業に投資する。
その一歩が、これからの日本を支える力になるかもしれません。
さらに、企業が利益を株主還元に回すことで、
国富を海外に流出させず国内に留めることにもつながるため、
個人投資家として日本株を応援する意味も増してきます。
最後までお読みいただきありがとうございます。









